2012年12月9日日曜日

修道院のお菓子(ブルゴス2)

一人旅は嫌いではないのですが、ふらりと入ったレストランやバルで食事をとる時、あれも食べたいこれも食べたい。「あ~誰か一緒だったらシェアして色々と試せるのに」とメニューを見ながらため息がでるのです。今回もそのため息頻度は高く・・

ブルゴスに向かいながら、これだけは外さないぞ!と思った料理たち。それを食べずに目移りしている自分の姿を想像するだけでイラっとしますからね。。。

どれもブルゴスの代表的な料理。そして大好物!
まずは「カスティージャのスープ」ニンニクのスープです。生ハムや肉が入り卵は溶いてあるタイプを小さなメソンで食べました。体がぽっかぽかになって、汗までかいちゃった。おそらく疲れた体もこれですごく元気が出たはず。


大好物の豚の血とごはんのソーセージ「モルシージャ」。これは卵炒めを町外れのバルで食べました。ふわっとしたスクランブルエッグと細かく切ったモルシージャ・・あ~今でも恋しくなる。。


そしてブルゴスと言えば「ケソ・デ・ブルゴス」、真っ白な姿が美しい羊のフレッシュチーズ。デザートとしてはちみつをかけて食べます。幸せ過ぎる。私が食べたお店では「おじいちゃんのブルゴスチーズ」ははちみつとくるみ、「おばあちゃんのブルゴスーチーズ」にははちみつと松の実という選択を強いられました。もちろん迷って頭を抱えてしまったことは言うまではありません。

この3つだけは外しませんでした!いやいや、でもブルゴスには豆料理や仔羊など、まだまだ美味しいものはたくさんあるのですよ!

そういえば、ブルゴスのホテルは大正解で、一人旅の疲れを癒すのには最適でした。
お部屋にこのような出窓があったのです。


大聖堂が観える部屋を予約していたのです。目の前には道路を隔てて川が流れ、その向こうに美しい大聖堂が臨めます。

連夜たっぷりのサラダと修道院のモストパンに赤ワイン。MacBookからショパンを流して。
ひとりでさびしそう?? ふふ・・確かに。でもずっと引きずってた慌ただしかった夏の日々の疲れさえも癒され、美しい夜景とワインに心洗われたのでした。


ブルゴスではさらに修道院のお菓子を訪ね、マドリッドに戻ってから近郊の修道院を5カ所ほど訪ねました。ということで修道院のお菓子の備忘録、まだまだ続きます。今年中に記せるかしら。。。


2012年12月1日土曜日

修道院のお菓子:ブルゴス

秋ももう終わりでしょうか。美しい紅葉も菊の香もあっという間でしたね。師走は何かと慌ただしくどの月よりも短い気がします。この1年の締めくくりを充実させるよう1日1日大切にしなければ。。う~ん、しかし寒さが苦手で、日に日に動作が鈍くなっています。


秋の修道院巡りから持ち帰ったお菓子も今年中に食べきってしまいそう。クリスマスまで残しておこうと思っていたポルボロンやチョコレート。すごい勢いで満喫してしまっています><
今夢中で食べているのがブルゴスのヌエストラ・セニョーラ・デル・エスピーノ修道院のお菓子。とても美味しい。今回の修道院の中で1番好きかもしれない。


ブルゴスから車で30分あまりのビバル・デル・シッド。人口140人ほどのこれもまた小さな村なのですが、ここはレコンキスタ(国土回復戦争)の英雄エル・シドの生まれ故郷。貴族の子として生まれたエル・シドが幼い頃を過ごした場所だそう。
子供の頃観た映画「エル・シド」でチャルーストン・ヘストンが扮してたけれど、その騎士っぷりが勇ましくって格好良かったのを覚えてる。
今でも泣き出しそうな空のせいか人っけのない村に、いましたよ!エル・シドが。かっこいいー!


そのエル・シドが向いている方向を歩いて行くと、また歴史がありそうな古い修道院が。ヌエストラ・セニョーラ・デ・エスピーノ修道院です。さぞ春~夏は花々が美しく色づくのではないかと思われる庭のある正面。



扉を開けて入ると、外とは打って変わって新しい内装にびっくり。昔の趣を残しながらも改装したと思われる。。さらに入るとその理由が分かりました。その昔、手写本叙事詩「エル・シド」を保存していたという大きな宝箱と叙事詩の一部が展示してあるのです。これを公開するにあたってきれいに改装したのでしょうね。


お菓子を作り始めてまだ6年とのことですが、種類も豊富。クッキーが充実しています。トルノの横にガラスケースがあり、中にはくるみのパウンドケーキ、ロスキージャなどがおいしそうに並んでいます。トルノ越しに修道女に色々お話を伺いました。どのお菓子も自慢だけれど、これはここだけという「Tizona」というチョコレートクッキー。「ティソナ」とはエル・シドの剣のことで、それを象ったそのクッキーの素敵なこと。そして「流刑の涙」というやはりエル・シドにちなんだ涙型のオレンジ風味のリッチなクッキーが修道女のおすすめでした。

「ティソナ」は日本で箱を開いたら、剣が全部折れてる状態に。。手荷物にするべきでした。

「Tronquitos」は「小さな丸太」という名前のチョコレート。ホワイトチョコレートなど3種類が箱にたっぷり詰まっています。


「瓦」という名前の薄焼きアーモンドクッキー。香ばしい。


どれも美味しい。この修道院のお菓子全部試したい!


修道院の窓から可愛い赤いスリッパが干して(?)あったのがやけに可愛かったのです。


2012年11月23日金曜日

スペインのスープと煮込みレシピ

今週、新刊が発売となりました!


スペインのおふくろの味と言えば煮込み料理。お母さんが作るあったかい煮込み料理は体を温め体調を良くしてくれるだけではありません。なんだかとってもやさしい気持ちになるんです。古くから伝わるレシピから大いに役立ってるオリジナルも。この冬、とっても役に立つ1冊になると思います。ぜひ活用してくださいね!


この1冊で食卓に笑みがこぼれますように。


2012年11月18日日曜日

パレンシア

パレンシアの町は小さいのにいくつもの美しい教会がありました。中に入ると必ず美しい聖母マリア像が。ミサ以外の時間にも祈りにくる人や懺悔室で神父さまと話す人たち・・今回もすっかり見慣れた空間に。
そして時には私も椅子に座り、静かな教会の中で佇んでは色々な思いを巡らせたりするのでした。



20kmほど離れた郊外にあるコンベルション修道院に足を延ばしてみました。お菓子作りはしていないようですが、革製品や木製品などの工芸品を作っていると聞いたからです。


対応してくれたのは、チリから来たというマリリンというやけに名前が色っぽい20代の修道女。
現在、引っ越しの最中でとてもバタバタしていて、作成作業はほとんどしていないとのこと。それでも革製品を作る機械やいくつかの作品も見せて頂き、私は革のノートと木製の十字架を購入。手作りらしい素朴さが可愛らしい。


学校のようなつくりの修道院の中を行き交う修道女がとても若く、今まで訪ねた修道院と違って軽快な空気が流れている。。。これはただ引っ越し支度で忙しいせいだけではないと思う。。


やはり20代かと思われる若い修道女が芝刈りをしていました・・ど、どうしたんだろう。サボってるように見えるぞ!



2012年11月11日日曜日

修道院のお菓子(パレンシア2)

パレンシア2日目、町を散策していたら、フェリアに出くわしました。中央広場Plaza Mayorに白いテントが立ちパレンシアの物産市をやっていたのです。なんとラッキーな!


作り立ての小さなケーキをくばっています。


テントの中には色々なブースが!
チョリソーや豚肉の加工品のブース。


はちみつのブース。はちみつキャンディー、それにねこや熊の形のはちみつロウソクが可愛らしかった。



チーズのブース!ひたすら試食に徹します。パレンシアの羊のチーズ「ケソ・カスティジャーノ」のコク、口の中に広がる風味。たまりません!


チョリソーなどパレンシアの腸詰め!


音楽隊までいて賑やか!
私のカメラに向かって1曲サービスしてくれました。ふふ。。




以上のブース外にお菓子やパンや飲み物のブースを発見・・・そこに修道女の姿が!




パレンシアの町から30kmほど離れた村にあるヌエストラ・セニョーラ・デ・アルコナダ修道院がお菓子やパンのお店を開いていました。他にもいくつか修道院のお菓子が出ていましたが、修道女ご本人が参加してるのはここだけでした。


この地方の名物パンでもある「モストのパン Pan de mosto」を買ってみました。モストは葡萄の生ジュース、その甘さと香りが美味しいこのパン。ワインとの相性もとても良くておいしいこと。なんせ大きいものですから、何日間も楽しませてもらいました。

ここでは買って試したいものがこれでもか、これでもかと出て来て、目が回りました。パレンシアの名産物に一度に出合えたのですから。

修道女のパンを抱え、立派なモルシージャ(豚の血のソーセージ)とめずらしい牛肉の生ハムなどを買い腕にぶらさげて町の散策を続けました。

修道院のお菓子(パレンシア)

はじめて訪れる町、Palencia パレンシア。カスティージャ・イ・レオン地方9県の中のひとつであるパレンシア県の県都。と言っても、これといったスポットもなく、まったく地元の人しかいないと思われる小さな町。ここには私の大好きな修道院のお菓子があるんです。


このクッキー。以前、マドリッドの修道院のお菓子専門店で購入したことがあり、その美味しさと可愛らしい姿に惚れ込んでしまったヌエストラ・セニョーラ・デ・ピエダ修道院のお菓子。


街の中心に位置するこの修道院の16世紀に作られたというムデハル様式のファザードが美しい。


修道院の一角に「工芸菓子」・・と看板が。街の人たちの生活に密着しているのが見てすぐ分かるケーキ屋さんのような構え。


中には色々なお菓子が美味しそうに肩を並べています。ケーキ屋さんのようなぱっと目をひくお菓子はないけれど、マグダレーナやアーモンドクッキー、ココナッツクッキーなど素朴で愛らしいものばかり。


菓子パンもいくつかあって、私はクリームパンを買ってみました。ちょっとボソボソしてた。。。。
下の画像はエンパナーダ。野菜とツナの入ったガリシア風パイ。この旅行ではバジャドリッドの聖イサベル修道院のものも試したので小さいのを買って比べてみることに。


あいにくお店番の人しかいなく、修道女たちと話すチャンスがなかったのは残念でした。でも再会できたアイシングのかかったクッキー。こういうところで作られていたのかと素敵な修道院の建物を眺めならちょっとにやついてしまったのでした。

2012年11月4日日曜日

近況です

を訪ねた小旅行の備忘録、パレンシア、ブルゴス、そしてマドリッド近郊とまだ続きます。・・・が、すっかりサボってしまっている近況をご報告させて頂きます!

昨日から朝日新聞の土曜版be「やさい塾」に野菜たっぷりのスペイン料理をご紹介させて頂いています。11月はあと4回、毎週土曜日連載です。ぜひ献立に加えてくださいね。

先日名古屋の朝日カルチャーセンターにて「修道院のお菓子」のレクチャーをやらせて頂きました。訪ねて来たばかりの修道院のお話もまじえ、持参した修道院のお菓子と私が作ったポルボロンも食べて頂きました。参加くださった方々、ありがとうございました。

名古屋へ行くのは25年以上ぶりでワクワクしながらもドキドキ。いつもはお料理を作りながらの講習会がほとんどで、お話だけというのは初めてだったので緊張しました。ところが話し始めたら、すっかり熱く語ってしまった。。。
おかげさまで来年2月19日に第2回目の「修道院のお菓子」レクチャーを同カルチャーセンターでやらせて頂く事が決まりました。お近くの方はぜひご参加ください!


現在、雑誌「ESSE」(扶桑社)にアサヒビールさんのワイン「アルバリ」に合うタパスを毎月1ページ1品をご紹介させて頂いています。簡単で手軽なタパスばかりです。

発売中の「お料理家計簿」(講談社)の今年の付録、お料理カレンダーを担当させて頂きました。「季節の香味野菜とハーブの料理」というテーマで下画像は6月の和風ガスパチョです。



今年はうれしいことに3冊目の本が出版されます!
「心も体も温まる スペインのスープと煮込みレシピ」(ソフトバンククリエイティブ)です。発売も間近で、21日には書店に並びます。私の大好きなあったかい料理ばかり。きっとこの冬お役にたてるレシピ集だと思います。活用していただけたらうれしいです。


2012年11月3日土曜日

修道院のお菓子(アルバ・デ・トルメス)

2日目は郊外のAlba de tormes  アルバ・デ・トルメスの修道院を訪ねました。
サラマンカからバスで20分あまり。着くとトルメス川から湯気がたっています。その幻想的な図。その朝は寒く、川との温度差からでしょう。その向こうにはかわいらしい村が朝の光を浴びています。


訪れたのはサンタ・マリア・デ・ラス・ドゥエニャス修道院。サラマンカ地域の司教さまから許可を頂き、この日は修道女との交流の時間を許されていました。


迎えてくれたのは年配の修道女お二人。お一人は出たり入ったりでしたが、83歳のマザー・コンソラションは、私と膝がつくくらいに座り、微笑み絶やさず、私の質問に丁寧に答えてくださいました。


色々なお菓子や料理の話がつきず、「次は何が聞きたいの?さぁ、なんでも聞いて」「あなたはアーモンドクッキーをどうやって作ってるの?私たちはこうよ」・・と、色々なレシピも伝授してくださり、その楽しかったこと。

温かい紅茶と一緒に持って来てくださったのがこの修道院ご自慢のアーモンド菓子。ガラピニャーダス。まだ作り立ての温かいものを持って来てくださったのです!ちょうどこの時間は「仕事」の時間でお菓子担当の他の修道女たちはいつものようにガラピニャーダスも作っていたのですね。「こんなふうに折って閉じるのよ」と紙の袋の包みかたも見せてくださいました。(焦って撮り、またピントが合っていない・・ぐすん)


1835年に修道女たちによって考案されたこのお菓子はこの修道院では特許もとり、販売しているもの。実はスペイン修道院のお菓子の中でも有名なんです。この作り方も色々説明してくださったけれど、そう簡単ではなさそうです。お菓子自体のレシピはアーモンドと水とお砂糖だけ、とシンプルですが、銅のボウルを使い栗の木のスプーンで力強く混ぜるのが大きなポイント。昔となにひとつ変わらない作り方で代々修道女から修道女に伝えてきたものだそう。「混ぜるタイミングとその力加減など、取得するのには1年以上はかかるのよ」とマザー・コンソラション。かといって、ベテランの修道女も年老いてしまうとこの作業は難しくなってしまうとのこと。。


できたてはサクサックとしながらもやわらかく本当に美味しかった。
これはなんとマドリッドの空港にも売っているとの事で、帰りにチェックしたら、確かに売っていました!

本当は関係者以外禁止だそうですが、特別にと中庭を見せてくれました。今は91歳の最年長修道女も入れて13人がこの修道院で暮らしているそう。見る事はできませんでしたが、内部の教会も歴史がありとても美しいものだそう。

写真の許可も得たので、撮ろうとしたら他の修道女が植木のお手入れに使っていたカートが!「どける?」とマザーに言われたけれど、83歳の彼女に動かしてもらうのも気がひけるし、私がそこまで入って良いのかも迷い、「そのままで大丈夫」と言ってしまったので、このとおり。。


この修道院ではガラピニャーダスの他に、ジェマス、アーモンドクッキーを購入しました。マザーの教えてくれたレシピ、味わってみない手はありませんから。そしてうれしいことにお土産に「天使の髪」の大きなジャムを頂いてしまった!

日本のお土産にはカステラと千代紙を渡したら、とても喜んでくださって、「みんなに見せたいけど、あ~中が見たいわ!」と包装紙を開く姿がまるで少女のようでした。

気がついたら、とんでもなく長居をしてしまい、3時間近くも話し込んでしまった!この時ばかりは別れるのがなんともさびしかったのです。。
また訪ねるチャンスがあればそんな素敵なことはないけれど・・せめて再会の日まで手紙のやり取りを続けられればと思っています。

帰りに寄ろうと思っていたもうひとつの修道院。間に合いませんでした。実はこの村は聖テレサが亡くなったところで、その修道院には今でも彼女の心臓と腕が残っていて展示されているそうなのです。急いで駆けつけたところ、ちょうど閉まる所でした。う~ん、残念!!聖テレサグッズをここで買う予定だったのに~~。。午後にはまた開くけれど・・
サラマンカに戻り、予定のバスに乗りパレンシアに向かわなければならないので、断念。。やっぱり今回の移動、レンタカーにするべきだったか、またもや後悔の念にかられるのでした。。でもでも、素敵な時間が過ごせたアルバ・デ・トルメス。マザー・コンソラション、どうかお体に気をつけて、美味しいお菓子を伝えて続けてください。


2012年10月22日月曜日

修道院のお菓子(サラマンカ旧市街)


カンタラピエドラの修道院のシスター・マリアアンヘルが紹介してくれた村のおじさんに車でサラマンカまで送ってもらいました。と言ってもおじさんは彼女の顔を一度も見た事がなく、声しか知らないのだそう。

サラマンカではキッチン付きのホテルだったので、市場で野菜や果物、サバの酢漬け、パンなどを買い込んで部屋でゆっくり昼食を楽しんだ後、旧市街に出かけました。

サラマンカに行く機会のある方にぜひ足を運んで頂きたいのが、旧市街にあるConvento(Monasterio)de las due?as ドゥエニャス修道院です。歴史的建造物である古い修道院の中を見学することもでき、今現在も暮らしている修道女たちの手で作られたお菓子が売られています。


1419年に設立されたというこの修道院。もともとは宮殿だったムーア様式の建物が美しく、内部を観るだけでも充分価値があります。


中庭、そしてアーチのひとつひとつが美しい。


17世紀にギネアのお姫さまがこの修道院の修道女となり暮らした頃のものや、可愛らしい修道院にまつわるものも展示されています。



見学し終わった後は入り口(出口)横にあるお菓子の販売場所に。
トルノもありましたが、格子がついた窓口で車いすに乗った70代の修道女がお菓子の説明をしてくれました。この人もまた肌がきれいで「綺麗な肌ですね」と言ったら、「よくそう言われるの。いつも水で洗うだけ、何かをつけたことがないのよ」。


ここのマグダレーナ、美味しいです。


そしてマンテカード(ポルボロンのようなお菓子です)。実はまだ食べていない。。